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避けられない医療崩壊

医療崩壊と叫ばれて久しいが,財政破綻の話と同じで一般の方にはまだ実感が少ないというのが本音ではないだろうか?

医療者従事者には,現在の医療体制が長くは続かないと感じる人が大半と思われる.

病院の7-8割が赤字に見舞われ,收入は医療費抑制から市場原理から開離した管理下に制限,経費削減のため人員も抑制,そうして起こった医療事故に損害賠償.下記の記事に経営的に厳しい環境の一面が現れている.http://www.hiroshima.med.or.jp/kenisikai/kinmui/2006/1960_022.pdf
こうして熱意だけで働き続けた医療従事者が勤務医を辞めて開業する.開業しても経営的に厳しくうまくいかないケースも多いと聞く.

その医療体制の根幹を支える国家の財政状態は下記の状況である.
http://www.mof.go.jp/zaisei/con_02.html
例示されているように,一般家庭で40万の月収とすれば借金が5200万あり,月収40万から15万を借金の利子の返済にあてて,24万を新たに借金している国()である.医療費30兆円,上記の月収40万に例えれば24万相当の額.この何割かを国が支えるわけだが,こんな自転車操業をしている国(家)に健康は基本だからといって負担増を求めることは難しい.いくら経済活性化して税収が増えても,月収40万(50兆円)が月収60万(75兆円)になるわけではない.現在のもしくはそれ以上の医療費抑制は必然的に続く.

そしてホテルに泊まるより病院に泊まった方が安いような,今までの24時間いつでも受診できる医療体制は崩壊する.医療機器・人件費などホテルの運営よりはるかに経費がかかる.それがこれまでやってこれたのは国・地方自治体が支えてくれていたからである.
進まない移植医療,新薬・最新医療機器の認可の遅さなど,最新の医療から取り残される.治療のためには海外に行くしか道がなくなり,命の沙汰も金次第という時代が来るかも知れない(一部の医療は実際そうなっていると思うが..)

現在の医療システムの持続性は上記の状況でかなり疑問である.加齢・病気でハンディを持った人を支えるには費用がかかる.高齢化を迎える日本の社会で負担は増える一方である.これに公費をつぎ込み続ける国・地方自治体に体力がない.

それに対して製薬業界は非常に大きな産業で体力がある.グローバルに展開する製薬企業は,アメリカ株式市場でも巨大企業である.この莫大な民間市場には莫大なお金が動いている.僕の考える構想は,この新薬開発という市場のグローバルなお金の流れを日本に引き込むことである.国民全体が新薬開発・医療技術の発展に貢献することで,開発に関わるお金が医療基盤整備の一助となり最新治療の恩恵を享受するようなシステムである.その上,医療基盤と最新の医療技術を子供・孫の世代に残すことができる.新薬開発に関連した市場が日本で発展すれば経済活性化にも寄与し,老い(高齢化)が単なる消費(negative)から生(positive)に変わるシステムである.

新薬開発の日本市場だけを見ても以前は7割日本で開発されていたものが,逆に7割がもう海外に流れているそうである.医療費削減に喘ぎながら片手間に新薬開発に協力する医療従事者の状況では,高コスト・遅い・品質が悪い・非英語圏では市場の魅力はなくなる一方である.この危機的状況から回避する方法,それが僕の思い描く構想である.

これを実現するための具体的手段()については,また折を見て書いていきたい.

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コメント

臨床をやってると、つくづく医療は崩壊するだろうと予感をします。
なにせ臨床医の皆さんのやる気が少しづつ失せていくのが見えるから。
実際私が前勤めていた病院でもインチキ生保の患者が少しでも気にくわないと医者に怒鳴りつけ、みなさんがびびっても診療拒否できず、
老人を一旦病院に送り込むと姥捨て山かのように二度と家に連れて帰らないとか、
少しでも不可抗力でトラブルに巻き込まれると裁判やら、逮捕やら、
ならその前に逃げだそうと悪の連鎖。
私もその逃げ出しの一人で、今はつくづく良い選択をしたと思います。
変な患者に付合わなくても平気で診療拒否できるし、
姥捨て山に捨てられそうな姥も来ないから。
先生は白衣を脱いでこの医療崩壊を救おうとしていますが、
また陰で応援しています。

投稿: 上海より | 2007年3月 1日 (木) 01時13分

> 上海よりさん

コメントありがとうございます.微力ながら普通の医療従事者と違う方法で抵抗してみようと思っています.
日本に帰国後,コンパクトに収まろうとしてしまうところがあるので,「上海より」さんの刺激は貴重です.これからも宜しくお願いします.

投稿: 夢見るK | 2007年3月 2日 (金) 00時42分

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